小松左京の短編に『くだんのはは』と云うミステリーがある。

反戦モノ(靖国神社=九段の母)と思って読むとその仕掛けの
妙にまんまとひっかかり、都市伝説の闇に迷い込んでしまう。


ワタシの母はもっとコワイ… どんな風にコワイかと言うと、
どんな目に遭うか恐ろしいので話せないほどコワイ…


母の怪談
 農家だった母の実家は山の中、市街地に出かけるには山越えしなければ
 出遊びもままならない環境。
 それでも(まだ)若かった母は遊びたかった。
 映画を見たり、ボーリングをするタメに片道徒歩で1時間前後の山道を
 行き来していたらしい。

 その日も…やはり、町で遊んだ帰路。
 夏の日暮れ時だったから、夕立がかなりの雨足でざあ~っと来てしまった。
 松林の横道になにやら小屋のようなものが見える。
 慌てて走りこむと、ソレはなにやらお社のようだった。

 少し離れたところに鳥居がみえるので、神社のお堂かもしれない。
 軒先に立って、雨宿りのつもりが勢いを増すばかりの雨脚に
 つい、お堂の中に入り込んでしまった。
 
 上り框のところに腰掛けて一息、ハンカチで濡れた足や頭を拭っている内
 うとうとしてしまったらしい。

 物音で目を覚ますと其処は漆黒の闇。
 叫ぼうとしたが、金縛りにあったように声が出ない。
 夢の中で聞いた物音が今度ははっきり聞こえてきた。

 かん、かーんと木に釘を打ちつけるような音…
 目を凝らして見つめると少し開いたお堂の引き戸越しに
 明かりが見えた…そのとたん、金縛りが解けたように
 叫び声が出た。
 石灯籠の明かりだと思ったものは、百目蝋燭を立てた鼎を被った
 白装束のオンナだったから…!

 母は一目散に、とにかく逃げたらしい。 
 


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